第42回年次大会 2008年5月31日~6月1日 (同志社大学)

アメリカ学会第 42 回年次大会プログラム

1. 月 日 2008 年 5 月 31 日 (土), 6 月 1 日 (日) 2. 場 所 同志社大学 今出川校地 新町キャンパス・室町キャンパス        〒602-8580 京都市上京区今出川通烏丸        京都市営地下鉄烏丸線 「今出川駅」 下車 徒歩 5 分
       会場校連絡先 山田史郎 3. 受 付 新町キャンパス 臨光館 (ただし, 第 1 日の午後は, 室町キャンパス寒梅館)
4. プログラム  (会場・教室は, 大会当日に受付で配布する 「大会要項」 に明記します。)
第 1 日  5 月 31 日 (土曜日) 午前の部 9:30~12:05 [新町キャンパス 臨光館 2・3 階教室]
自由論題 第 1 報告 (9:30~10:05) 第 2 報告 (10:10~10:45) 第 3 報告 (10:50~11:25) 第 4 報告 (11:30~12:05)
自由論題 A  司会 松 原 宏 之 (横浜国立大学)
 富澤理英子 (同志社大学 (講)) W. E. B.デュボイスの 「二重意識」 概念と 1890 年代のアメリカの知的言説  森 田 麻 美 (一橋大学 (院)) 20 世紀転換期アメリカにおける 「白人奴隷制」  深  豊 幸 (同志社大学 (院)) カリフォルニア州の排日運動の再考──排日論者ヴァレンタイン・マクラッチーを中心に  水野真理子 (京都大学 (院)) 詩人, 加川文一の文芸活動──日系アメリカ文学における一世文学から帰米二世文学の流れにおいて
自由論題 B  司会 中野耕太郎 (大阪大学)
 武 井  望 (明治大学 (院)) バロウズの教育政策におけるインディアン研究の影響  野口久美子 (カリフォルニア大学デイヴィス校 (院)) インディアン再組織法と部族自治──カリフォルニア州トュールリヴァー保留地での試み  小 瀧  陽 (一橋大学 (院)) 第二次世界大戦前後の合衆国における退役軍人福利政策──二つの G. I.法に着目して  南  修 平 (一橋大学 (院)) 創られる領域──国際電気工労組 (Local 3) の歩みとその展開
自由論題 C  司会 待 鳥 聡 史 (京都大学)  松本明日香 (筑波大学 (院)) 大統領像を巡る 「テレビ・ディベート」 ──1960 年第 1 回米国大統領候補討論を事例として  藤 田 怜 史 (明治大学 (院)) エノラ・ゲイ論争におけるメディアの報道に見る日米原爆観の相違  菅 原 和 行 (釧路公立大学) 現代アメリカの公務員制度における 「代表性」 と 「専門性・合理性」 ──住民提案 209 号以後のカリフォルニア州を中心に  小 峯 弘 靖 (PHP 総合研究所) 地域からアメリカを変える? 地方政府による地球温暖化対策・その政治性について
自由論題 D  司会 佐々木 隆 (同志社大学)
 武 田 貴 子 (名古屋短期大学) マーク・トウェインと水治療  好 井 千 代 (大阪大学) Daisy Miller の Un-American Flirting  奥 田 暁 代 (慶応義塾大学) 南部の北上──世紀転換期における南部人編集者の影響力  野 沢 公 子 (愛知県立大学) Dorothy Arzner の Dance, Girl, Dance (1940) ──セクシュアル・アイデンティティー・階級・人種の攪乱
昼食 (12:15~13:15)
理事・評議員会 (12:15~13:15) [新町キャンパス 臨光館]
午後の部 13:30~17:40 [室町キャンパス 寒梅館ハーディーホール]
会長講演 (13:30~15:00) [寒梅館ハーディーホール]  司会 有 賀 夏 紀 (埼玉大学)  Vicki Ruiz (President of ASA, University of California, Irvine)   Nuestra America: Latino History as U. S. History  五十嵐武士 (アメリカ学会会長・東京大学)    The Populist Empire in the Global Age: The Democratic Ideal and the Imperial Reality in the American Foreign Relations
シンポジウム (15:10~17:40) [寒梅館ハーディーホール]  「21 世紀のアメリカと "ボーダー"」   司会 遠 藤 泰 生 (東京大学)  篠 原 総 一 (同志社大学) 経済のボーダレス化とアメリカのボーダー  村 田 晃 嗣 (同志社大学) ボーダーレス化するアメリカの安全保障観  下河辺美知子 (成蹊大学) 自殺的自己免疫の症候──自己と他者のボーダー再考  東 栄一郎 (ペンシルバニア大学) アメリカに於けるアジア系アメリカ人研究とアジア研究──エスニック・スタディーズと地域研究の境界と交差  コメント 秋 田  茂 (大阪大学)
懇親会 (18:10~20:10) [京都ガーデンパレス] 烏丸通下長者町上る 京都御所蛤御門前 (電話 075-411-0111)
第 2 日  6 月 1 日 (日曜日)
午前の部 9:30~12:00 [新町キャンパス 臨光館 2・3 階教室]
部会 A 「越境する都市:ロサンゼルス」   司会 米 山  裕 (立命館大学)   土 屋 和 代 (日本学術振興会 (特別研究員)) 社会福祉の再構築──1960 年代のロサンゼルスにおける福祉権運動と人種, 階級, ジェンダーの境界  矢ケ崎典隆 (東京学芸大学) ロサンゼルス大都市圏の都市構造と境界景観  町 村 敬 志 (一橋大学) 再埋め込みされるボーダーランド──変容するメディア空間とエスニック・ロサンゼルス  原 尻 英 樹 (立命館大学) ディアスポラ・コリアンを統合する 「力」 ──中央アジア, 中国, 北朝鮮, そして韓国からロサンゼルスへの北朝鮮出身者
部会 B 「モダニズム期におけるアメリカ文学と音楽──人種とジャンルの越境」   司会 飯 野 友 幸 (上智大学)  飯 野 友 幸 (上智大学) 学究ラグと吟遊バラッド──T. S.エリオットとカール・サンドバーグ  大和田俊之 (慶応義塾大学) 戦間期アメリカ音楽における 「黒人性」 ──ウィリアム・グラント・スティルと W. C.ハンディを中心に  舌 津 智 之 (立教大学) スティーヴン・フォスターとモダニズム文学  中 田  崇 (和光大学) ユダヤ系移民とティン・パン・アレー期のアメリカ大衆音楽産業  コメント 柿 沼 敏 江 (京都市立芸術大学)
ワークショップ A "American Democracy: Myth and Reality"   司会 平 体 由 美 (札幌学院大学)  西 山 隆 行 (甲南大学) Democracy and the American Welfare State: The Politics of Social Policy in an Age of Rising Inequality  本 田 量 久 (立教大学) W. E. B. Du Bois in Battle for Peace  Nikhil Pal Singh (University of Washington, Seattle) An Exceptional Empire? Race and War in US Globalism  コメント Seong-Kon Kim (President of ASAK, Seoul National University)
 
ラウンドテーブル 1 "Representations of 'Asians' in Hollywood Films"  コーディネーター 小林富久子 (早稲田大学)  ディスカッサント Elaine H. Kim (University of California, Berkeley)           中 村 理 香 (成城大学)           中 地  幸 (都留文科大学)
新理事会 (12:10~13:30) [新町キャンパス 臨光館]
分科会 (12:10~13:30) および昼食 (分科会の概要については, 以下を参照)
総会 (13:30~14:00) [新町キャンパス 臨光館]
午後の部 14:10~16:40 [新町キャンパス 臨光館 2・3 階教室]
部会 C 「『国境』 の相対化と人権」   司会 宮 川 成 雄 (早稲田大学)  宮 川 成 雄 (早稲田大学) 内からの 「国境」 の相対化──不法外国人の合法化と 「国境」 の侵食  新 井 信 之 (長崎外国語大学) 内からの 「国境」 の相対化──外国人差別の解消とアメリカ市民権の意味について  村 上 正 直 (大阪大学) 外からの 「国境」 の相対化──国際人権諸条約とアメリカ法   コメント 碓 井 敏 正 (京都橘大学)
部会 D 「文化的ボーダーランドとしての祝祭空間」   司会 肥後本芳男 (同志社大学)  田中きく代 (関西学院大学) 文化的ボーダーランドと 19 世紀アメリカにおける祝祭とパレード  山 本 明 代 (名古屋市立大学) 東欧移民の祝祭とパレード  竹 中 幸 史 (名古屋外国語大学) フランス革命期の祭典と行列──ルーアンの事例を中心に  コメント 大 森 一 輝 (都留文科大学)
部会 E 「越境移民とキリスト教伝道」   司会・コメント 安 武 留 美 (甲南大学)  吉 田  亮 (同志社大学) ハワイ・日本間キリスト教越境伝道ネットワークの形成と展開──ハワイ日本人移民とアメリカ宣教師  廣 部  泉 (北海道大学) 日米間キリスト教越境伝道ネットワークの展開  高井ヘラー由紀 (国際基督教大学) 「越境」 か 「同化」 か──日本植民地期台湾における英加・日・漢族キリスト教徒間の出会いと交流
ワークショップ B "From Downtown to Uptown: Social Mobility in Ethnic Communities"  司会 島 田 法 子 (日本女子大学)
 Linda Trinh Vo (University of California, Irvine) Transforming American Ethnic Communities: Asian Americans and the Question of Social Mobility  高木 (北山) 眞理子 (愛知学院大学) Social Mobility of Japanese Americans in Hawaii  Jin Hee Kim (Kyunghee Cyber University) Vito Marcantonio: From a Popular Front Vanguard to a Cold War Politician  コメント Vicki Ruiz (President of ASA, University of California, Irvine)
ラウンドテーブル 2 "The United States and Interacting Cultures in the Pacific"  コーディネーター 山 里 勝 己 (琉球大学)  ディスカッサント Gary Y. Okihiro (Columbia University)           野 崎 京 子 (京都産業大学)           石 原 昌 英 (琉球大学)
5. 1) 懇親会は事前の申し込みが必要です。 懇親会費 6,000 円は同封の払込用紙にて 4 月 30 日までにご納入下さい (期日厳守)。払い込まれた懇親会費はいかなる事情があってもお返しできませんので, ご注意ください。   2) 年会費の当日払いは受け付けられませんのでご了承ください。   3) 非会員の大会参加費は 1,000 円です。 会場受付にてお支払いください。
6. 昼食 両日とも, 新町・室町両キャンパス内のカフェテリア等をご利用になれます。
同志社大学への交通・会場案内 ※ 同志社大学今出川校地へは, 京都市営地下鉄烏丸線をご利用ください。 JR の場合は 「京都」 駅から, 阪急電車の場合は 「四条」 駅から, 「国際会館行き」 に乗車し, 「今出川」 駅でお降り下さい。 ※ 第 1 日午前の自由論題, 第 2 日全セッションへは, 地下鉄 「今出川」 駅 2 番出入口を出て, 大聖寺の手前の小路を西に進み, 「新町キャンパス」 へ向かってください。 徒歩 5 分。
※ 第 1 日午後の会長講演・シンポジウムへは, 同じく地下鉄 2 番出入口を出て, そのまま烏丸通りの西側を北へ進み, 「室町キャンパス (寒梅館)」 へ向かってください。 徒歩 2 分。 ※ 今出川校地は 3 つのキャンパスに分かれます。 国の重要文化財に指定された主要な建物があるのは 「今出川キャンパス」 ですが, 今回の年次大会では使用しません。 ただし, 今出川キャンパスにあるアメリカ研究所 (博遠館) は, 年次大会開催中に開館します。 アメリカ学会会員には自由に入館していただけますので, 是非足をお運び下さい。 (お問い合わせは, 電話 075-251-3930)
会場案内 受付 新町キャンパス臨光館 (ただし, 5 月 31 日の午後のみ, 室町キャンパス寒梅館)
5 月 31 日 (土)
午前 自由論題・理事評議会 新町キャンパス臨光館 午後 会長講演・シンポジウム 室町キャンパス寒梅館 懇親会 京都ガーデンパレス
6 月 1 日 (日) 全プログラム 新町キャンパス臨光館

第 42 回年次大会 分科会のご案内 (  ) は責任者および連絡先

会場はすべて, 新町キャンパス臨光館教室です。
1. アメリカ政治 (中野博文 (北九州市立大))
 テーマ 「大統領選挙と政治の革新」  報告 藤永康政 「ポスト公民権時代の 「人種」 と政治:新しい黒人政治家と公民権運動家の相剋を中心に」
 報告 山本貴裕 「南部バプテスト協議会 (SBC) と大統領選挙:アメリカの政治と福音主義に対する SBC の態度の歴史」
 本年度の分科会では, 人種・宗教と大統領選挙のかかわりについて二人の報告者を立てて議論を行う。 アメリカ政治では過去幾度か個々の政策方針はもちろんのこと, 政治秩序の在り方までもが大統領選挙によって劇的に刷新されたことがあった。 そうした経験と記憶があるため, 選挙によせる国民の期待は他国に比べて大きく, とくに今年の選挙では, ブッシュ政治からの脱却を説く有権者の声が爆発している観がある。 2006 年中間選挙で大勝した追い風に乗る民主党は, 女性や黒人の大統領候補を擁してしきりに変革を訴えている。 一方の共和党は各候補がその選挙基盤である宗教右派の心をつかむのに苦闘しているものの, 依然として民主党に対抗可能な政治的支持を持っている。 本分科会では, 人種・宗教の視点から選挙がアメリカ政治に対して持ってきた意義を検討し, そのことで本年度の選挙が既存のアメリカ政治を変革する契機を持っているか否かについて, 一つの見方を示すこととしたい。
2. 冷戦史研究 (松田 武 (大阪大学))   報告:青野利彦 (カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校歴史学研究科博士課程修了)      「デタントの限界:キューバ危機後の東西交渉と西側同盟内政治 1962-63 年」  本報告の目的は, キューバ・ミサイル危機 (1962 年 10 月) 後の東西緊張緩和のプロセスを, 西側同盟内政治に注目しながら実証的に再検討することである。 同危機の後, 1963 年中盤までに米ソ両国が, 部分的核実験禁止条約の締結に象徴される一定の緊張緩和を達成したことはよく知られている。 この緊張緩和の模索過程においては, ベルリン問題, 核不拡散, NATO・ワルシャワ条約機構不侵攻協定 (non-aggression pact) 等, その後のヨーロッパ冷戦の有り様を規定しうるような, より広範な諸問題も交渉の議題となった。 しかし米ソは結局合意に達することができず, ここに 1963 年の東西デタントの限界を見ることができよう。 本報告では, 上記の諸問題をめぐる西側同盟内政治が東西交渉に与えた影響を分析することによって, 米ソがより広範なデタントを達成することができなかった理由について考察し, 1960 年代初頭の冷戦の特質を考える一助としたい。
3. 日米関係 (川上高司 (拓殖大学))
 報告テーマ:「変化するアメリカと新たな日米同盟」 (予定)  司会 川上高司 拓殖大学   報告者 (予定)
 1. 変化するアメリカ 佐藤丙午 拓殖大学  2. 変化するオーストラリアと日米同盟 佐島直子 専修大学  3. 変化する日本と日米同盟 丸茂雄一 防衛大学  4. 変化する日米地位協定 岩本誠吾 京都産業大学
4. 経済・経済史 (加藤一誠 (日本大学))  この数年, 分科会では現代の経済問題に関する報告やディスカッションをテーマにしてまいりましたので, 今年は数年ぶりに経済史をテーマといたします。 柳生氏の報告と近江氏のコメントの後, 最近の経済史研究の趨勢や経済学の一領域としての経済史の研究が今後どのようにあるべきかについてのディスカッションの時間とする予定です。
 経済・経済史以外の分野を専攻とされる会員にもご来場いただき, 意見交換に参加して頂ければと考えております。 よろしくお願いいたします。
 報告:柳生智子氏 (日本学術振興会特別研究員 (明治大学))
 テーマ:植民地期チャールストンの商人層の分析と大西洋貿易の展開  コメント:近江健吉氏 (三重中京大学)
 ディスカッション:経済史研究の現状と展望について
5. アジア系アメリカ人研究 (野崎京子 (京都産業大学))
 報告:安藤幸一 (大手前大学社会文化学部教授)     神田 稔 (アジア系アメリカ文化研究家)  「70 年代アジア系アメリカ人のコミュニティ再生運動と音楽によるアイデンティティ形成」  公民権運動の中で, 自らの文化的ルーツとアイデンティティを模索し始めたアメリカ生まれのアジア系アメリカ人は, 70 年代になると, エスニックコミュニティの再生に乗り出した。 それは, 民族文化の伝承者である移民第一世代から学び, 高齢化していく祖父母の世代を社会的に支援する活動から始まった。 また, 若い世代を横に結びつける動きであり, 自らの民族的ルーツに誇りをもった, 次世代のアジア系 「アメリカ人」 を育てていく教育運動でもあった。 そのときに重要な役割を果たしたのが, 音楽でありアートであった。  「アジア系アメリカ」 という枠組がはらむ困難さと同様, 「アジア系アメリカの音楽」 の定義は簡単ではない。 しかし, 欧州系, アフリカ系などのスタイルを利用しつつ, 自らのエスニシティーを押し出すアジア系の音楽家たちがいた。 本発表では, アジア系アメリカ人による広義のポピュラー音楽やパフォーマンスから, その矛盾や限界も射程に入れつつ, アメリカの中のアジアとアジアの中のアメリカとのせめぎ合いと統合の可能性を探ってみたい。
6. アメリカ女性史・ジェンダー研究 (豊田真穂 (関西大学))  報告者:加藤麻衣子 (青山学院大学・非)      三反田ひとみ (同志社大学・院)      豊田真穂 (関西大学)  本分科会では, ジェンダー・女性史研究に関心のある者が一同に集うことで, 情報や意見を交換すること, および国際学会など学会へのパネル応募の契機をつくることを目的としている。 パネルの構想を練る場を提供しつつ, 採択への助言を出し合ったり, 開催予定の学会情報を交換したり, 人的な交流を深めたりすることも目指す。  これに加えて今年度は, 2 年前の分科会からうまれたパネルの報告の場としたい。 仮テーマは"The American Presence in the 20th-Century Japan: Influence on Women's Life, Work and Sexuality"で, 20 世紀のアメリカが日本女性に与えた影響をみる。 はじめのうちは本や思想を通して, 徐々に人的交流を通じて直接的に, 時には国際結婚や混血児をうみだした。 女性たちはどのように影響を受け, そしてどのようにそれに対応していったのだろうか。 報告では, シャーロット・パーキンス・ギルマンとマーガレット・サンガーという 2 人のアメリカ人女性が日本女性に与えた影響, および混血孤児院を設立した澤田美喜の功罪を探る。
7. アメリカ先住民 (阿部珠理 (立教大学))  報告 石井泉美 (同志社大学) 「アメリカ先住民研究とジェンダー」      石山徳子 (明治大学) 「アメリカ先住民研究と環境」  最近の内外の研究動向を紹介すると同時に, ジェンダーと環境の視点からアメリカ先住民社会を見ることの意味について考える。 その際石井はアメリカ先住民の伝統的社会における女性の地位や役割が, 西欧社会との接触, 同化と交渉の過程でどのように変容あるいは維持されたかを踏まえ, 石山は自身のフィールドワークを参照しつつ, 植民地主義の残滓を引きずり市場経済主義の負を蒙る先住民共同体の, 環境問題における新たな自立的交渉過程に注目する。
8. 19 世紀史 (田中きく代 (関西学院大学))  昨年度に話題になった 「長い 19 世紀」 をテーマに, 以下のように, 3 人の報告者の意欲的な報告を予定しています。 19 世紀史のみならず, ご関心の多くの方々のご参集をお願いします。  石川敬史 (東京理科大学) 「アメリカ建国期における 19 世紀への飛躍」  小原豊志 (東北大学) 「南北戦争・再建期から─合衆国憲法修正第 15 条と黒人選挙権問題の展開─」  横山 良 (神戸大学) 「19 世紀と 20 世紀の間の 『溝』」
9. 初期アメリカ (大西直樹 (国際基督教大学))  初期アメリカ分科会では, 初期アメリカ研究における近年の動向を概観すると同時に新たな方向を会員とともに探るため, 以下の報告を含めた議論の場を設ける。 合わせて, 国内で展開している初期アメリカ関係の研究プロジェクトの情報を交換し合いたい。
 司会:大西直樹  報告:橋川健竜 「1740 年代の植民地新聞に見る, 周縁としての新大陸」
 近年盛んなブリテン帝国論や大西洋史の見地を, 初期アメリカ研究はどう受け止めるべきだろうか。 今回はこの問題を考えるための予備作業として, 1740 年代の対スペイン・フランス戦争中に北米英領植民地で発行された新聞から, 帝国における植民地の位置づけを窺わせる発言をいくつか拾ってみる。 戦争する帝国の中心─周縁関係の中で, 植民地人は, ヌーヴェル・フランスや西インド諸島を含めて新大陸をどう理解したのか。 輪郭のかたどりを始めてみたい。