第41回年次大会 2007年6月9日~10日 (立教大学)
アメリカ学会第41回年次大会プログラム
1. 月日 2007年6月9日(土)、10日(日)
2. 場所 立教大学(〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1) 会場校連絡先 阿部珠理
3. プログラム
第1日 6月9日(土曜日)
自由論題 第1報告(9:30~10:05) 第2報告(10:10~10:45) 第3報告(10:50~11:25) 第4報告(11:30~12:05)
自由論題A 司会 平田美和子(武蔵大学)[5401教室] 宮田智之(慶応義塾大学(院)) 保守系シンクタンクの政治的役割 佐々木裕美(愛知学泉短期大学) サウスダコタ州の中絶禁止法をめぐる攻防――HB1126(1991)、HB1215(2006)、住民投票、そしてHB1293(2007) 中村宏美(筑波大学(院)) 財布の力――議会による戦争権限行使のありかた 小峯弘靖(PHP総合研究所) 米国政府の偽ドル通貨対策――報告書『海外における合衆国通貨の使用と偽造』の分析を通して
自由論題B 司会 中野博文(北九州市立大学)[5402教室] 濱田康史(ブリティッシュ・コロンビア大学(院)) 二つの戦争の間のE.H.ノーマン――東京裁判・天皇制民主主義・講和問題、1945-50 西川 賢(慶應義塾大学) ニューディール期アメリカにおける民主党組織の変容――ペンシルヴェニア州を中心とする政党政治の実証分析 李 里花(一橋大学大学(院)) ハワイ戒厳令下のコリアン移民社会とナショナリズム――「敵性外国人」から「友好的外国人」への語りの形成 奥広啓太(東京大学(院)) フランクリン・ローズヴェルトの国家非常事態宣言――『非常時』の大統領権限に注目して
自由論題C 司会 佐藤 円(大妻女子大学)[5407教室] 水野由美子(名古屋大学) シティズンシップとアメリカ先住民――1924年インディアン市民権法を事例として 戸田山祐(東京大学(院)) 非合法移民問題とブラセロ・プログラム――移民統制をめぐる1940年代の米墨間交渉を中心に 大野あずさ(アリゾナ州立大学(院)) 都市におけるアメリカ・インディアン・コミュニティーの形成と発展――コロラド州デンバーを例として 岩崎佳孝(近畿大学) 再建期のインディアン・テリトリーにおける黒人解放民問題――南北戦争後のチカソー・ネーションの事例より
自由論題D 司会 杉山直子(日本女子大学)[5404教室] 福田敬子(青山学院大学) 結婚か純愛か?――19世紀アメリカの『フリーラブ』運動と女たちの闘い 柳生智子(日本学術振興会特別研究員) 植民地期チャールストンにおける奴隷貿易の展開――商人の市場集中度に関する考察 成田興史(ハーヴァード大学) "Alternative American Studies: T. S. Eliot Research and an Exploration of Interactive Dimensions between East and West" 三添篤郎(筑波大学(院)) 男らしい聴き方――トランジスタ補聴器の誕生とその文化
昼食(12:15~13:15)
理事・評議員会(12:15~13:15)[12号館会議室]
会長講演(13:30~14:30)[8101教室] 司会 五十嵐武士(東京大学) Prof. Emory Elliott (President of ASA; University of California, Riverside) "Terror, Aesthetics, and the Humanities: The Politics of Astonishment."
シンポジウム「アメリカにおける『公』を問い直す」(14:40~17:10)[8101教室] 司会 大津留(北川)智恵子(関西大学) 佐藤丙午(拓殖大学) 安全保障政策と公共性――米軍における民間軍事会社の役割 佐藤千登勢(筑波大学) 福祉国家の再編とジェンダー/市民権 小林富久子(早稲田大学) 合州国の公共的ディスコースへの参入/挑戦――9・11前後の日系人強制収容所語り コメント 前田高志(名古屋市立大学) 中野勝郎(法政大学)
懇親会(17:30~20:00)[第1学生食堂]
第2日 6月10日(日曜日) 部会A「冷戦再考」(9:30~12:00)[8201教室] 司会 佐々木卓也(立教大学) 寺地功次(共立女子大学) 東南アジアの「冷戦」とアメリカ 吉原欽一(社団法人アジアフォーラム・ジャパン) 70年代アメリカ政治への「保守」のインパクト――冷戦期アメリカ政治の再編 高橋博子(広島市立大学広島平和研究所) アメリカ人の核兵器観――1950年代民間防衛計画を中心に コメント 上村直樹(広島市立大学)
部会B「Race Change / Exchange――〈境界性〉の恐怖と憧憬」(9:30~12:00)[8202教室] 司会 椿 清文(津田塾大学) 椿 清文 Rhapsody in Blackface――アメリカ文化におけるミンストレルシーの意義 荒 このみ(東京外国語大学) 認知不能の恐怖――トニ・モリスンの「レシタティフ」 喜納 育江(琉球大学) カレン・テイ・ヤマシタの文学における異文化混交と人種のボーダレス性 高野一良(首都大学東京) ミュージアム・インディアン――展示される人種、鑑賞する人種
ワークショップA "Migrating Cultures"(9:30~12:00)[8304教室] Chair: 中野 聡(一橋大学) Youngjeen Choe (Chung-Ang University), "The Grace Lee Project and (De)imagining Identities of Asian American Women." 南川文里(神戸市外国語大学),"Trans/national Formations of 'Japanese America': Prewar, Postwar, and Beyond." Natalia Molina (University of California, San Diego), "The Power of Racial Scripts: What the History of US-Mexican Immigration Teaches Us about Race." Comment: Emory Elliott
分科会(12:15~13:50)および昼食(分科会の概要については,以下を参照)
総会(14:00~14:30)[8101教室]
部会C「歴史と記憶の制度化をめぐって」(14:40~17:00)[8201教室] 司会 中條献(桜美林大学) 貴堂嘉之(一橋大学) ホロコーストのなかの「アメリカ」――アメリカ優生学運動の歴史 内田綾子(名古屋大学) 記憶の継承にむけて――アメリカ先住民の場合 矢口祐人(東京大学) サイパンダ、バンザイ!――サイパン観光と戦争の記憶 コメント 日暮美奈子(専修大学)
部会D「格差社会」の拡大―その現状とメカニズム(14:40~17:00)[8202教室] 司会 河村哲二(法政大学) 佐々木隆雄(法政大学・名) 1970年代以降の所得格差の拡大――大恐慌以前への回帰? 篠原健一(京都産業大学) 職場における労使関係の転換――自動車産業を中心にして 秋元樹 (日本女子大学) 下位3分の1層と「働く貧乏人」――ソーシャルワークの目から、90年代後半を中心に 庄司啓一(城西大学) 金融・情報革命と雇用革命のもとでの新しい「独占」と「格差」――白人とヒスパニックの資産格差を中心に
部会E「私秘性の芸術表現――セクシュアリティと公共性」(14:40~17:00)[8303教室] 司会・コメント 竹村和子(お茶の水女子大学) 清水晶子(東京大学) ナショナルな公共性、グローバルな私秘性 内野儀(東京大学) ヴァーチャルにゆく――クリティカル・アート・アンサンブルのポリティクス 後藤和彦(立教大学) アメリカ南部文学と性の不安について
ワークショップB "Whose 'America' in American Studies?"((14:40~17:00)[8304教室] Chair: 佐々木隆(同志社大学) 荒木圭子(東海大学), "What is 'America' in Marcus Garvey's Movement?" 鎌田遵(日本女子大学), "The Emergence and Development of Native American Studies: Resistance at the Margin." Viet Thanh Nguyen (University of Southern California), "Memories of the Bad War: Ethnicity and Empathy in Viet Nam." Comment: Chung Hee Lee (President of ASAK; Hankuk University of Foreign Studies)
4. ① 懇親会は事前の申し込みが必要です。懇親会費6,000円は同封の払込用紙にて5月7日までにご納入ください(期日厳守)。払い込まれた懇親会費はいかなる事情があってもお返しできませんので、ご注意ください。② 年会費の当日払いは受け付けられませんのでご了承ください。③ 非会員の大会参加費は1,000円です。会場受付にてお支払いください。
5. 昼食 土曜はキャンパス内のセントポールズ会館および第一学生食堂をご利用になれます。日曜日は第一学生食堂のみご利用になれます。
第41回年次大会 分科会のご案内 ( )は責任者、[ ]内は会場です。
1. 冷戦史研究(菅英輝・西南女学院大学) [8201教室] 報告 吉次公介(沖縄国際大学)「池田勇人政権の封じ込め政策―戦後日本外交と冷戦、1960-1964年」 コメント 杉田米行(大阪外国語大学) 今回は、2006年度の在外研究中に資料収集に従事すると同時に、池田政権の外交を「西側の有力な一員」という観点からその意義を研究してきた吉次会員に報告をお願いする。池田の封じ込め政策のあり方、脅威認識、封じ込めの手段・適用範囲・資源について論じたうえで、戦後日本外交史における池田の位置づけや池田外交の意義について報告してもらう。
2. アメリカ先住民(阿部珠理・立教大学)[8202教室] 報告者および報告テーマ 鈴木透(慶應大学)「National Museum of the American Indian における記憶と表象」 2004年に開館したNational Museum of the American Indianを、現代アメリカにおけるパブリック・メモリーの再構築という観点から取り上げ、それが体現している記憶表現のあり方を、いわゆるポスト・ナショナリスト的なアメリカ研究との関連において検討し、アメリカ先住民研究の新たな可能性について考察する。 小澤奈美恵(立正大学)「アメリカ建国神話に組み込まれたポカホンタス伝説」 ポカホンタスによるジョン・スミス救出の物語は、アメリカ文学の根底に流れ、語り継がれている。この物語を、歴史・文化人類学的研究成果を踏まえて、語られなかった事実と対比させることで、アメリカ合衆国建国神話として、植民者による東部先住民の征服と支配を隠蔽し、歴史的記憶喪失状態を創る仕組みであることを解読する。
3. アジア系アメリカ人研究(粂井輝子・白百合女子大学)[8303教室] 報告 深見 麻(東京大学(院)) 報告 西川裕子(東京福祉大学(非)) 本年度は、日系アメリカ人の芸術およびコミュニティ活動に関する1990年以降の研究動向をテーマとする。深見麻会員は「日本における日系アメリカ人芸術研究の動向と課題」と題する報告を行う。日系人研究において比較的注目されることが少なかった領域ではあるが、1990年代以降、研究の範囲、深度において大きな発展が見られたことを、最近の成果を題材に論じる。また、昨今のマイノリティ文化研究のパラダイムや、日本における日系人研究の枠組みと の関連から、本領域の研究が抱える問題と将来の展望について考察する。西川裕子会員は「コミュニティの文化活動――北米・ハワイの日系人を中心とした動向と展望」と題する報告を行う。組織の活動や機能の分析が中心だったコミュニティ研究が、1990年代後半以降、「表象」をキーワードに、コミュニティで行われる文化的活動に目が向けられるようになったことを指摘する。国や地域を越えた結びつきや交流など、本領域の将来の多様な可能性を考察する。
4. アメリカ政治(大津留(北川)智恵子・関西大学)[8304教室] 報告 天野拓(慶応義塾大学(非))「現代民主党と医療保険改革:無保険者政策を中心に」 2006年の中間選挙で民主党が多数派に返り咲き、社会的公正をめざした立法が試みられている。しかしアメリカ社会が再び大きな政府を歓迎するとは思えず、リベラルがアメリカ社会で持っていた意味は確実に変容している。大統領選挙を前に、民主党は自らの使命をどう認識しているのだろうか。今回は、天野拓会員より無保険者政策に関して報告いただく。民主党は党内リベラル派を中心に、国民皆保険制度の導入など、政府の役割(公的保険)拡張に基づいた無保険者対策に積極的な立場をとってきた。しかし、「大きな政府」への不信が高まり、党内でも穏健派が台頭するにつれ、その無保険者政策も変容しつつある。現在の民主党が直面する政治課題についての天野報告の考察を受け、リベラリズム研究者である砂田会員にコメントをいただき、民主党とリベラリズムについての議論を展開していきたい。 コメント:砂田一郎
5. 経済・経済史(加藤一誠・日本大学)[X206教室] ディスカッション・テーマ「ニューエコノミーとは何か?」 発題 秋元英一(千葉大学) この数年,数名のメンバーが部会や自由論題で報告し,最近のアメリカ経済・経済史研究の成果を示してきました。また,この分科会においてもユニークなテーマで多くの先生が報告してくださいました。 そこで,本年の分科会はこれまでとスタイルをかえ,ご出席いただいた皆様との議論の場にします。テーマは上記のように設定しましたが,当日はアメリカ経済の諸問題について話し合う予定です。経済学以外のさまざまなご専門の先生のご出席もお待ちしております。
6. 日米関係(川上高司・拓殖大学)[X207教室] テーマ「2008年のアメリカと日本」 報告者(予定) 中山俊宏(津田塾大学)「アメリカ選挙の予想と分析」 石澤靖弘(学習院女子大学)「アメリカの世論」 信田智人(国際大学)「2008年の日米関係」 川上高司(拓殖大学)「アメリカのイラク情勢をめぐる内政」 2008年はアメリカ大統領選挙の年であり、ブッシュ大統領のイラク政やアフガニスタン政策の結果をめぐり華々しく論争が展開されると考えられる。また、アジア諸国では、韓国大統領選挙、台湾総統選挙、香港立法議会選挙、北京オリンピックなどの一連のイベントが行われ、それらの事柄もアメリカ大統領選挙にも影響してくると考えられる。これらの情勢変化をふまえ、日米関係分科会では、2008年のアメリカ大統領選挙のゆくえと日米関係についての分析と予測を行う。
7. ジェンダー(豊田真穂・関西大学)[X208教室] 本分科会は、ジェンダー研究と女性史研究に関心のある者が一同に集うことで、情報や意見を交換すること、およびアメリカ学会の部会をはじめ国際学会を含むそのほかの学会へのパネル応募の契機をつくること を目的としている。そこで今年度の分科会では、昨年度に引き続き、分科会メンバーの中からパネルを組むことを目指す。パネル採択への助言 を出し合ったり、開催予定の学会情報を交換したり、人的な交流を深めたりする。 また本年度は、来日が予定されているKathryn Kish SklarさんとThomas Dublinさんをお迎えする。30分程度のご報告のタイトルは、"The States and the Women's Movement since 1963: New Sources, New Stories."女性の地位に関する連邦・州委員会に関するおふたりのウェブサイトの紹介を中心にお話いただきます。どうぞご参加ください。
8. 19世紀史研究(田中きく代・関西学院大学)[x308教室] アメリカ(現段階では北米に限定しますが)の、19世紀を全体として見通したときに、何が見えてくるのか? それを問いなす分科会です。 報告 肥後本芳男(同志社大学)「建国期・ジャクソニアン期からのアプローチ」 報告 田中きく代「南北戦争・再建期からのアプローチ」 報告 宮下敬志(立命館大学)「19世紀後半、特に人種からのアプローチ」 司会進行 藤本茂生(帝塚山大学) アメリカ史研究では、植民地時代から独立戦争の時代と、20世紀に研究が集中しており、その間にある19世紀については両方の時代からの関係で言及されるものの、19世紀を射程においたものが少なくなってきているのが現状です。21世紀も既に数年立つ現在、ここで、19世紀をまるごと取り上げて、アメリカ史の中に正当に位置づけたいと思っています。スタートラインに立ち戻って、分科会を開くことにしました。ご賛同くださる方々(19世紀以外の方も、歴史学以外の方も)から、ご意見をうかがいたいというのが趣旨ですので、ぜひご参加ください。