学会機関誌『アメリカ研究』(年報)は2023年3月に第57号を刊行する予定です。会員諸氏の積極的な投稿をお待ちしています。
1. 内 容 アメリカ研究に関する未発表論文。前年度『アメリカ研究』もしくは『英文ジャーナル』に論文が掲載された方は,本年度の投稿をご遠慮ください。また,同じ年度に,あるいは年度をまたいで『アメリカ研究』と『英文ジャーナル』の双方に投稿することはできません。これはなるべく多くの会員に発表の機会を提供するためです。
2. 枚 数 論文は33 字×34 行のレイアウトで19 ページ以内(註を含む)。 執筆要項は学会ウェブサイト を参照のこと。
3. 原稿締め切り 2022 年8 月31 日(水)
4. 提 出 電子メールで年報編集委員会宛て(nenpo[AT]jaas.gr.jp([AT]を@に換えてください))にお送りください。
*投稿希望者は,論文題目を2022 年6 月末日までに電子メールで,年報編集委員会宛て(nenpo[AT]jaas.gr.jp([AT]を@に換えてください))にお申込みください。
『アメリカ研究』第57 号の特集テーマは「裁くアメリカ/ 裁かれるアメリカ」です。趣意は以下の通りです。
アメリカ合衆国に関心を持つ者であれば,歴史に名を刻む「裁き」に遭遇したことがあるだろう。たとえば,キリスト教に関心を寄せる者であれば,セイレムの魔女裁判やヘスター・プリンに緋文字を負わせた裁判,あるいは1920 年代の進化論裁判に思いを馳せるだろう。人種問題を学ぶ者なら,南北戦争の導火線となったドレッド・スコット裁判や,南部の人種隔離体制を容認した19 世紀末のプレッシー対ファーガソン裁判と,その判決を覆して公民権運動に弾みを与えたブラウン対教育委員会裁判を知らないはずはない。ジェンダー問題に目を配る者であれば,人工妊娠中絶を規制 する国内法を違憲としたロー対ウェイド裁判以降の訴訟や同性婚を認めた近年の合衆国最高裁判所の判決から目を離せないだろう。
第二次世界大戦の戦勝国として一連の国際軍事法廷で日本やドイツを裁いたアメリカにおいて,「裁き」は国内にとどまるものではない。しかも,それは司法の外でも目撃されてきた。たとえば,ビリー・ホリデイが「奇妙な果実」として歌った人種隔離体制下の黒人へのリンチや,自警団的伝統に由来するさまざまな私的制裁。また,非米活動委員会による芸術創作活動の監視や,アーサー・ミラーが『るつぼ(クルーシブル)』において魔女狩りに擬えたマッカーシズムによる社会的制裁も,アメリカの「裁き」にほかならない。
これらの「裁き」に通底するものは,「正義」の実現に対するアメリカの飽くなき欲求である。つまり,アメリカは許されざる「悪」を見出し,それを徹底的に放逐する正義の国家であろうとしてきたのではないか。しかし,いかなる「裁き」にも「誤審」や「冤罪」がつきものである。裁く者ではなく裁かれた者にこそ正義があったのかもしれないし,裁かれるべき者が裁かれなかった可能性もある。ここでひとつの問いが浮かびあがる――アメリカは,誰が,誰を,何を,何のために裁いたのか(裁かなかったのか),そしてそれは歴史の検証に堪えるものなのか。
次号の特集では標記のテーマのもと,司法の内外を問わず「裁き」に焦点をあて,アメリカの「正義」を再検証する論考を募集したい。
「特集」に応募希望の会員は、2022年6月末日までに、氏名・所属・論文題目および構想・資料などの説明(400字程度)を電子メール(nenpo[AT]jaas.gr.jp([AT]を@に換えてください))で、年報編集委員会宛てにお申し込み下さい。その際のタイトルは「『アメリカ研究』特集応募」と明記してください。
執筆要項は学会ウェブサイト を参照のこと。
原稿締め切りは2022 年8 月31 日(水)。
年報編集委員会
座談会 |
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「Is America Back?:アメリカの覇権の現在」 |
(1) |
特集論文「疫病/公衆衛生」 |
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人間機械論と公衆衛生の定義―革新主義期アメリカにおけるC.-E. A. ウィンズローと人間工学運動― |
上野継義(29) |
公衆衛生の担い手―ロックフェラー財団国際保健部と農村部公衆衛生1900‒1932 |
平体由美(49) |
植民地期フィリピンにおける保健衛生事業と赤十字人道主義 |
牧田義也(69) |
比喩との抗い―ジャック・ロンドンの癩病表象 |
高野泰志(93) |
濫喩としての感染―アメリカ文学思想史の視点から― |
巽孝之(113) |
英雄的医療時代の不機嫌なロマンス作家―ジェイムズ・フェニモア・クーパーとアンテベラム期の医療言説 |
林以知郎(135) |
自由論文 |
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20世紀はじめの米国の社会改革運動と国際女性平和運動―エミリー・グリーン・ボルチの民族,国家,国際協調の思想を中心に |
一政史織(157) |
善き生の回復を求めて―ラルフ・アダムズ・クラムの教会建築論に見る革新主義期アメリカに抗するアングロ・カトリシズムの想像力 |
佐々木一惠(177) |
長文書評 |
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書評:志田淳二郎『米国の冷戦終結外交̶ジョージ・H・W・ブッシュ政権とドイツ統一』(有信堂高文社,2020年) |
村田晃嗣(197) |
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