フロントページ | 学会費の口座振替導入のお知らせ »


イラク戦争に関するアメリカ学会会員有志の要望書への回答

(2003年4月21日)

イラク戦争に関連して下記のような要望書が 2003年4月7日付けで アメリカ学会宛に提出されました。要望書は学会の理事宛にも提出されていますが、5月31日の年次大会時に開催が予定されている理事会を待っての回答では事態の緊急性に対応できないと考え、常務理事の皆さんに、従来の学会の対応を踏まえて、ご相談した結果、以下のように回答することにしました。多くの会員の皆さんにも関心のあることと考え、回答文を要望書とともに、ニューズレターに掲載するものです。

1. アメリカ学会の目的はその規約第2条にあるように、「アメリカに関する学術的研究を行うこと」に限られています。それ故、特定の政治問題について学会としての見解を出すことは 学会の目的に照らして、適当ではないと思います。

2. 今回のイラク戦争はアメリカ研究者にとって重大な関心をもたざるをえない問題ではありますが、1200名もいる学会員の中には多様な意見があることが予想されますので、学会として特定の意見を表明することは学会としてのまとまりを維持する上で、適当ではないと考えます。

3. ただし、学会としては、会員相互間で多様な意見が交流され、相互の学問的な認識が高まる場を提供することは学会の役割であると考え、従来から年次大会やニューズレターの場で関連したテーマを取り上げてきました。それ故、今回の要望書についても常務理事会としての回答文とともに、ニューズレターや学会のホームページに掲載し、会員の皆さんの参考にしていただくことはよいことと考えます。

アメリカ学会会長
長田豊臣

<イラク戦争に関するアメリカ学会会員有志の声明 及び アメリカ学会への要望書>

(2003年4月7日)

私たちアメリカ学会会員有志は、3月20日に開始されたアメリカ合衆国主導によるイラクへの武力攻撃を、国連決議を尊重する国際秩序と国際協調への重大な脅威と認識します。そして、国際的対話と相互理解の可能性を否定するこの不法な戦争に対し、私たち有志は不支持を表明し、双方が即刻停戦し、国連の枠組みでの協議に復帰するよう求めます。そして、このアメリカ主導のイラク攻撃に対して、アメリカ学会が見解を明らかにするよう要望いたします。

国連安保理決議を経ずに行われたこの武力攻撃は、一方的にある一国の政権転覆を目指しています。この行為は、国連憲章や国際法に違反するだけでなく、民族自決主義の蹂躙と国家主権に対する侵害ではないかと考えられます。さらに、この性急な武力攻撃は、いかなる他者であろうと理性的な対話によって相互理解を目指すという国際理解の原則を放棄するものです。この事態は、地域研究の当事者として大いに憂慮せざるを得ません。

アメリカ学会は、アメリカに関する学術研究を行うことを目的とする学術団体として、日本におけるアメリカ研究を主導する立場を占めてきました。アメリカ研究の成果を活かして、現在目前で起こっている危機的状況を明示し、来るべき国際社会のあり方を提案することは、学会としての社会的責務であると同時に、研究者としての知的良心に基づいた私たち有志の願いでもあります。

今回のアメリカのイラク攻撃に関連して、現在、世界中の研究者が声を上げ始めています。私たちのパートナーである American Studies Association は、2002年11月14日付で「戦時における知的自由」と題した声明を出し、「愛国主義やテロリズムに対する戦争という名の下に」 いかに知的自由が損なわれようとしているかを公に問うています。アメリカ最大の美術史学会である College Art Association は、文化遺産の保護を強調した従来の声明の枠を越えて、2003年2月23日付で「人命、文化遺産と表現の自由に対する脅威」を憂慮する公式声明を主要新聞社に送付しています。また、2003年3月11日および19日付の New York Times の意見広告にあるように、世界中の多くの研究者や作家が各自の知的良心に基づいて、今回の戦争に反対する意見を公表しています。

私たち有志は、この戦争に対してここに不支持を表明し、即刻の停戦と国連の枠組みでの協議に復帰するよう求めます。そして、アメリカ学会がこの知的良心の大きな流れの中で、学会としての見解を明らかにするよう要望いたします。

アメリカ学会会員有志一同
(2003年4月7日現在、121名)

学会事務局が受け取った文書は以下に賛同者名が続きますが、学会事務局の編集により、省かせていただきました。最新の賛同者名とこの要望書活動についての詳細は、以下のホームページでご確認ください。

http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~go/appeal/

2003年04月21日 | 学会からのお知らせ